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実務者研修では、介護の基本や生活支援技術、認知症の理解、医療的ケアなど、介護に必要なさまざまな知識や技術を学びます。
そのなかでも重要な科目の一つが「介護過程」です。実務者研修では、「介護過程Ⅰ」「介護過程Ⅱ」「介護過程Ⅲ」の3科目に分けて段階的に学習します。
実務者研修について調べている方のなかには、「介護過程では何をするの?」「介護技術を学ぶ授業とは違うの?」「介護過程Ⅲは難しい?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
介護過程とは、利用者一人ひとりの心身の状態や生活環境、本人の希望などを把握し、その人に必要な介護を考え、計画・実践(実施)・評価・見直しをしていく一連のプロセスです。
介護職が経験や感覚だけで介護を行うのではなく、「なぜこの支援が必要なのか」という根拠を持って介護を行うために欠かせない考え方といえます。

厚生労働省では、「専門職として自律的に介護過程の展開ができる」ことを「求められる介護福祉士像」10項目のなかに掲げています。

この記事では、実務者研修で学ぶ「介護過程」について、学ぶ目的や基本的な流れ、介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いなどをわかりやすく解説します。
介護過程とは?
介護過程とは、利用者の心身の状態や生活環境、本人や家族の希望などの情報をもとに必要な支援を考え、介護計画を立てて実施・実践し、その結果を評価・見直ししていく一連の流れです。
介護を必要としている方の状態や生活は、一人ひとり異なります。
たとえば、同じように「歩くことが難しい」という方でも、身体機能や生活環境、本人が希望する生活などによって必要な支援は異なります。
「歩けないからすべて介助する」と一律に考えるのではなく、
- ●どのようなことに困っているのか
- ●どのような生活を送りたいのか
- ●自分でできることは何か
- ●どの部分に支援を必要としているのか
- ●どのような介護によって目標に近づけるのか
などを検討することが大切です。
こうした情報を整理し、その人に合った介護を計画的に行うための考え方が「介護過程」です。
実務者研修で介護過程を学ぶ目的
介護過程を学ぶ目的の一つは、利用者一人ひとりの状況に合わせて、根拠のある介護を考えられるようになることです。
介護現場で経験を重ねるなかで、「以前はこの方法でうまくいったから、今回も同じように介助しよう」と考えることがあるかもしれません。
しかし、同じ介護方法がすべての利用者に適しているとは限りません。
利用者の心身の状態や生活環境、本人の希望などを把握したうえで、その人に適した介護方法を考える必要があります。
厚生労働省が示す実務者研修の教育内容でも、介護過程を通して、情報収集やアセスメント、介護計画の立案、実施、モニタリング、計画の見直しなどを行えることが求められています。
単に介護技術の手順を覚えるだけではなく、「なぜこの介護を行うのか」を考え、根拠に基づいて支援できる力を身につけることが重要です。
介護過程の基本的な流れ
介護過程は、利用者について情報を集めるところから始まります。
その後、情報を分析し、必要な支援を考え、介護計画を立てて実践します。さらに、その結果を確認し、必要に応じて計画を見直します。

1.アセスメント(情報収集・分析)
まずは、利用者について必要な情報を集めます。
たとえば、
- ●心身の状態、疾病や障害
- ●生活歴
- ●生活環境
- ●家族との関係
- ●本人や家族の希望
など、さまざまな視点から情報を把握します。
利用者が「できないこと」だけを見るのではなく、「できること」「得意なこと」「本人が大切にしていること」など、さまざまな視点から情報を把握します。
次に、集めた情報を整理・分析し、利用者が抱えている課題や必要な支援について考えます。
たとえば、「一人で着替えるのに時間がかかる」という情報があったとします。
この場合、単純に「更衣介助が必要」と判断するのではなく、
・なぜ時間がかかっているのか
・どの部分なら自分でできるのか
・本人はどのようにしたいと考えているのか
などを考えます。
利用者の心身の状態だけでなく、本人の希望や生活環境なども含めて捉え、生活上の課題や必要な支援を明らかにしていくことが、アセスメントの重要なポイントです。
2.介護計画の立案
アセスメントによって明らかになった課題をもとに、目標や具体的な支援内容を考えます。
「介護職が何をするか」だけではなく、「利用者がどのような生活を送りたいのか」という視点を持つことが大切です。
本人の希望や現在できていることを踏まえながら、目標の達成に向けて必要な支援を計画します。
3.介護の実施・実践
作成した介護計画をもとに、実際に介護を行います。
介護計画は作成して終わりではありません。
支援を行いながら、
- ●利用者の状態に変化はないか
- ●計画した介護方法が適しているか
- ●本人の希望に沿った支援になっているか
などを確認することが重要です。
4.モニタリング・評価
介護を実施したあとは、設定した目標がどの程度達成されているかを確認します。
利用者の心身の状態や生活環境は、常に同じとは限りません。
状態が変化したり、新しいニーズが生まれたりすることもあります。
そのため、介護を実施した結果を評価し、必要があれば介護計画を見直します。
このように、
アセスメント → 介護計画の立案 → 実施 → モニタリング・評価 → 見直し
という流れを繰り返しながら、利用者に適した介護を考えていきます。

実務者研修では「介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」を学ぶ

実務者研修には、「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「生活支援技術」「認知症の理解」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」など、さまざまな科目があります。
そのなかで介護過程は、「介護過程Ⅰ」「介護過程Ⅱ」「介護過程Ⅲ」の3科目に分かれています。
厚生労働省が定める時間数は、以下のとおりです。
| 科目 | 時間数 |
| 介護過程Ⅰ | 20時間 |
| 介護過程Ⅱ | 25時間 |
| 介護過程Ⅲ | 45時間 |
なお、実務者研修全体では、無資格者の場合、450時間のカリキュラムが設定されています。保有している資格や修了している研修によっては、一部科目が免除される場合があります。
介護過程Ⅰで学ぶこと
介護過程Ⅰでは、介護過程についての基本的な考え方を学びます。
厚生労働省が示す教育内容には、
- ●介護過程の基礎的知識
- ●介護過程の展開
- ●介護過程とチームアプローチ
があります。
まずは「介護過程とは何か」「なぜ介護過程が必要なのか」といった基本を理解する段階です。
また、介護は介護職一人だけで完結するものではありません。
利用者を支援するためには、ほかの介護職や看護職など、さまざまな職種との情報共有や連携が必要です。
介護過程Ⅰでは、チームで介護過程を展開するための情報共有や、他職種の役割についても学びます。
介護過程Ⅱで学ぶこと
介護過程Ⅱでは、介護過程Ⅰで学んだ基本的な知識をもとに、具体的な事例を使って介護過程の展開を学びます。
厚生労働省の資料では、利用者の障害、要介護度、医療依存度、居住の場、家族の状況などについて事例を設定し、介護過程を展開することが示されており、
また、安全確保や事故防止、家族への支援、他職種・他機関との連携などについても考えます。
実際の介護現場では複数の課題が同時に存在することも多いため、さまざまな情報を整理しながら適切な支援を考える力が求められるためです。
介護過程Ⅲで学ぶこと
介護過程Ⅲでは、実務者研修で学んだ知識や技術を総合的に活用し、より実践的に介護過程を学びます。
介護過程Ⅲはスクーリング(面接授業)で45時間、実施される科目です。
厚生労働省の資料では、多様な事例を用いた介護過程の展開、および知識・技術を総合的に活用した分析力や応用力についての教育が目的とされています。
また、介護技術についても、単に手順どおりに行えるかだけではなく、利用者の心身の状態などに合わせて適切に判断・実践できるかという視点が重要になります。
そのため、面接授業では、グループワークやロールプレイなどを活用し、理論と実践を結びつけながら介護過程の考え方を学ぶことが示されています。
介護過程Ⅰ・Ⅱで学んだ内容を、より実際の介護現場に近い形で活用する科目と考えるとよいでしょう。
介護過程Ⅲは難しい?
「介護過程Ⅲは難しそう」と不安に感じる方もいるかもしれません。
介護過程Ⅲでは、利用者の情報を読み取り、課題や必要な支援を自分で考える場面があります。
介護技術の手順を覚える学習とは異なる難しさを感じることもあるでしょう。
大切なのは、最初から一つの正解だけを探そうとするのではなく、「なぜその介護が必要なのか」を考えることです。
たとえば、事例を検討するときには、
- ●利用者本人は何を希望しているのか
- ●現在できていることは何か
- ●何が生活上の課題になっているのか
- ●その課題が生じている理由は何か
- ●どのような支援があれば目標を達成できるか
というように順番に整理すると、考えやすくなります。
それまでに学習した「こころとからだのしくみ」「認知症の理解」「障害の理解」「生活支援技術」などの知識も活用しながら考えていきましょう。
実務者研修の授業の様子や受講の流れを具体的に知りたい方は、未来ケアカレッジの「実務者研修 受講レポート」も参考にしてみてください。
【第1回】基礎知識の再確認。 介護過程Ⅲとは利用者さんを幸せにする為の思考過程
【第5回】介護過程Ⅲドキドキの修了評価。今までの集大成となる日。
現場でどう役立つ?介護過程を学ぶ4つのメリット
介護過程は、実務者研修を修了するためだけに学ぶものではありません。
実際の介護現場で、利用者一人ひとりに合った支援を考える際に役立ちます。
-
1.利用者に合った介護を考えられる
介護過程を理解すると、「この人にはこの介助」と一律に決めるのではなく、利用者の心身の状態や希望に合わせて必要な介護を考えられるようになります。
2.根拠を持って介護できる
「いつもこうしているから」という理由ではなく、利用者の情報やアセスメントをもとに介護方法を考えられるようになります。
なぜその支援が必要なのかを説明できることは、利用者・家族・チームの納得と同意につながり、介護職としての専門性を高めるうえでも重要です。
- 3.利用者の自立支援につながる
介護では、すべてを代わりに行うことが必ずしも適切とは限りません。
利用者自身ができることを把握し、その力を活かしながら必要な部分を支援するという視点が大切です。
介護過程を通して利用者の状態を詳しく把握することで、その人の力を活かした支援を考えやすくなります。
- 4.チームで情報を共有しやすくなる
介護現場では、複数の介護職や他職種が一人の利用者を支援します。
介護計画や支援の目的が明確になっていれば、「なぜこの支援を行うのか」をチーム内で共有しやすくなります。
介護過程を学ぶときのポイント
介護過程を学習するときは、専門用語を暗記するだけではなく、一連の流れを理解することが大切です。
特に意識したいのが、「利用者主体」の視点です。
介護職側が「こうしたほうがよい」と思い込まずに、利用者本人の希望や生活歴、価値観などを踏まえて考えましょう。
また、アセスメントでは、一つの情報だけで判断しないことも重要です。
「できない」という結果から、「なぜできないのか」「どのような環境や支援があればできるのか」まで考えることで、その人に必要な支援が見えやすくなります。
介護過程Ⅰ・Ⅱで基礎と展開方法を理解し、介護過程Ⅲではそれまでに学んだ知識を結びつけながら、実際の介護場面をイメージして考えていきましょう。
まとめ|介護過程は利用者に合った介護を考えるために大切
介護過程とは、利用者について情報を収集・分析し、その人に必要な介護を計画して実践・評価し、必要に応じて見直していく一連のプロセスです。
実務者研修では、介護過程について「介護過程Ⅰ」「介護過程Ⅱ」「介護過程Ⅲ」と段階的に学びます。
介護過程Ⅰでは基本的な考え方、介護過程Ⅱでは具体的な事例を用いた介護過程の展開、介護過程Ⅲではこれまで身につけた知識・技術を総合的に活用した、より実践的な内容を学習します。
介護過程を理解することは、研修を修了するためだけでなく、実際の介護現場で「なぜこの支援が必要なのか」を考え、利用者一人ひとりに合った介護を提供するためにも役立ちます。
実務者研修を通して介護過程の考え方を身につけ、根拠を持って利用者を支援できる介護職を目指しましょう。
実務者研修の受講を検討している方へ
未来ケアカレッジの実務者研修では、お持ちの資格によって受講科目や受講期間が異なります。
無資格の方はもちろん、介護職員初任者研修やホームヘルパー2級などを修了している方も受講できます。
仕事をしながら介護福祉士を目指している方や、介護の知識・技術をさらに高めたい方は、未来ケアカレッジの実務者研修をご検討ください。
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まずは資料請求で、受講方法や開講スケジュールなどをご確認ください。ご自身に合った受講方法を検討するための第一歩として、ぜひご活用ください。
出典・参考


