目次
「バリアフリーとユニバーサルデザインは何が違うの?」
このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
バリアフリーとユニバーサルデザインは、どちらも暮らしやすい環境を考えるうえで重要な考え方です。似た意味で使われることもありますが、それぞれ考え方には違いがあります。
介護の現場では、利用者が安全に生活できる環境を整えるだけでなく、本人ができることを活かしながら自立した生活を支援することも大切です。バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方は、こうした生活環境を整える際にも関係します。
この記事では、バリアフリーとユニバーサルデザインの違いや具体例、介護との関係についてわかりやすく解説します。
バリアフリーとは?
バリアフリーとは、高齢者や障害のある方などが社会生活を送るうえで障壁となるものを取り除き、生活しやすい環境を整える考え方です。
バリアという言葉から、建物の段差などをイメージする方も多いでしょう。
実際に、段差をなくしたり、手すりを設置したりすることは代表的なバリアフリーの取り組みです。
一方で、生活するうえで障壁となるものは、物理的なものだけではありません。
制度や情報、周囲の人の偏見なども、人によっては社会参加を妨げる障壁になることがあります。
そのため、バリアフリーについて考える際には、建物や設備だけではなく、生活や社会のなかにあるさまざまな障壁に目を向けることが大切です。

バリアフリーの具体例
身近なバリアフリーの例には、次のようなものがあります。
- 建物の段差をなくす、スロープを設ける
- 階段や廊下に手すりを設置する
- エレベーターを設置する
- 車いすでも通りやすいスペースを確保する
- 利用しやすいトイレを整備する
- 移動や施設利用に必要な情報をわかりやすく提供する
日本では「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が2006年12月に施行されました。
同法では、高齢者や障害のある方などの移動や施設利用における利便性・安全性の向上を促進することなどが定められています。
ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザインとは、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすいよう、あらかじめ環境や製品などをデザインする考え方です。
たとえば、駅や公共施設などを利用する人は、高齢者や障害のある方だけではありません。子どもや妊娠している方、ベビーカーを使用している方、外国人など、さまざまな人が利用します。
最初からこうした多様な人が利用することを想定し、誰にとってもできるだけ使いやすい環境を考えるのがユニバーサルデザインです。

ユニバーサルデザインの具体例
身近なところにも、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたものがあります。
- 大きく見やすい文字を使用した案内
- 絵や記号を使用したピクトグラム
- 読みやすい書体(UDフォント)、見分けやすい配色の看板・印刷物
- シングルレバー・自動水洗など、少ない力でも操作しやすい設備や製品
- 車いすやベビーカーでも移動しやすい通路・交通機関
- 多目的トイレ、多言語案内を備えた公共施設
- 開閉ボタンなど、直感的に使い方がわかりやすい製品
ユニバーサルデザインの具体例
身近なところにも、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたものがあります。
- 大きく見やすい文字を使用した案内
- 絵や記号を使用したピクトグラム
- 読みやすい書体(UDフォント)、見分けやすい配色の看板・印刷物
- シングルレバー・自動水洗など、少ない力でも操作しやすい設備や製品
- 車いすやベビーカーでも移動しやすい通路・交通機関
- 多目的トイレ、多言語案内を備えた公共施設
- 開閉ボタンなど、直感的に使い方がわかりやすい製品
| バリアフリー | ユニバーサルデザイン | |
| 基本的な考え方 | 障害によってもたらされる障壁(バリア)を取り除く | あらかじめ多様な人々が利用しやすいようデザインする |
| 主な対象 | 高齢者、障害のある方など | 障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人 |
| 具体例 | 段差の解消、手すりやスロープ、オストメイトの設置など | ピクトグラム、自動ドア、自動水栓、ノンステップバスなど |
スロープを設置して既存の段差をなくし、車いすを利用する方が移動しやすくすることは、バリアフリーをイメージしやすい例です。
一方、建物を設計する段階から、高齢者や障害のある方をはじめ、子ども、ベビーカーを使用する方など多様な人が移動しやすいよう、あらかじめスロープや広い通路など誰にとっても自由度の高い環境づくりを行うのがユニバーサルデザインです。
ただし、両者は完全に切り離して考えるものではありません。「暮らしやすい環境をつくる」という目的には共通する部分があります。
それぞれの考え方を理解したうえで、状況に応じて生活環境を整えることが大切です。
介護とバリアフリー・ユニバーサルデザインの関係
介護というと、食事や入浴、排泄などを介助する姿をイメージする方も多いでしょう。
しかし、介護では本人に直接働きかけるだけでなく、本人が「どのような環境で生活するのか」という視点も重要です。
利用者が生活しやすい環境を整えることで、安全性を高めたり、本人の能力を活かした生活につなげたりできる場合があります。
ここからは、介護と生活環境の関係について見ていきましょう。
安全に生活できる環境を整える
高齢になると、身体機能などの変化によって、以前は気にならなかった環境が生活上の障壁になる場合があります。
たとえば、小さな段差でもつまずく要因になる可能性があります。
段差や家具の配置、移動する場所などを確認し、利用者の状態に合わせて生活環境を改善していくことが大切です。
本人ができることを活かす
介護では、本人ができることまですべて介護者が代わりに行うことが適切とは限りません。本人が持っている能力を活かしながら、自立した生活を支援する視点が求められます。
ADLが低下している人でも、身体状況に適した位置に手すりがあることで、自分の力を使って立ち上がりや移動ができる場合があります。
環境を整えることは、単に介護をしやすくするためではなく、本人が自分で行えることを増やしたり維持したりすることにもつながります。
一人ひとりに適した環境を考える
同じ年代の高齢者でも、身体状況や生活習慣、住環境などは一人ひとり異なります。
適切な場所に適切な種類の手すりを設置するなど、個別の生活課題に対応することで、住み慣れた自宅でその人らしい生活を継続できます。また、車いす用スロープの設置など屋外移動のバリアフリー化を進め、積極的な社会参加を促すことも可能です。
介護現場で見られるバリアフリー・ユニバーサルデザインの具体例
介護施設や高齢者が暮らす住宅では、安全性や生活のしやすさを考えて、さまざまな環境整備が行われています。
代表的な例を見ていきましょう。
手すりを設置する
手すりは、廊下や階段、トイレ、浴室など、さまざまな場所で使用されています。
歩行や立ち座りなどの際に身体を支えることで、動作を行いやすくなる場合があります。本人の身長や身体状況、動作などを考え、使いやすい位置や形状にすることが重要です。
段差をなくす
居室と廊下の境目などに段差があると、つまずきや移動のしにくさにつながる場合があります。
段差をなくしたり、必要に応じてスロープを設置したりすることで、移動しやすい環境を整えます。
車いすを使用している方にとっても、段差の少ない環境は移動のしやすさにつながります。
移動しやすいスペースを確保する
生活環境を考える際は、設備だけでなく空間の使い方にも目を向ける必要があります。
車いすや歩行器を使用している方の場合、通路が狭かったり家具が移動を妨げたりすると、生活しにくくなることがあります。
利用者が日常生活のなかでどのように移動するのかを考え、必要なスペースを確保することが大切です。
わかりやすい表示にする
生活しやすい環境を考えるうえでは、情報の伝わりやすさも重要です。
大きく読みやすい文字にしたり、イラストやピクトグラムを取り入れたりすると、情報を理解しやすくなる場合があります。
「移動しやすい」だけでなく「情報を理解しやすい」という視点からバリアフリーを考えることも大切です。
介護では生活環境の整備だけではない幅広い知識が必要
バリアフリーやユニバーサルデザインは、利用者の暮らしを支えるうえで役立つ考え方です。
もちろん、実際の介護では、生活環境だけを考えればよいわけではありません。
食事や入浴、排泄、移動などの日常生活を支援するための知識や技術をはじめ、認知症や障害、こころとからだのしくみ、コミュニケーションなど、さまざまな知識が必要になります。
また、同じ介助を行う場合でも、利用者の身体状況や希望などによって適切な方法は異なります。
「何をしてあげるか」だけではなく、「なぜこの支援が必要なのか」「本人の能力をどのように活かせるのか」を考えることも大切です。
介護の仕事を続けていくうえでは、経験を積むだけでなく、介護について体系的に学ぶことも専門性を高める方法の一つといえるでしょう。
介護について専門的に学べる「実務者研修」とは?
介護についてさらに専門的な知識や技術を身につけたい方が受講できる研修の一つに「介護福祉士実務者研修」があります。
実務者研修では、「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」「介護過程」「認知症の理解」「障害の理解」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」など、介護に関する幅広い内容を学びます。
バリアフリーやユニバーサルデザインについては、利用者の住宅改修や居住環境の整備として「生活支援技術」」や、「社会の理解」「障害の理解」などの科目に関係しています。
無資格から受講する場合の教育時間数は450時間で、保有している資格や修了済みの研修によって一部科目が免除される場合があります。
介護の仕事に必要な知識を幅広く学べることから、介護について理解を深めたい方や、今後のキャリアアップを考えている方にとって選択肢の一つとなる研修です。
バリアフリーとユニバーサルデザインに関するよくある質問
最後に、バリアフリーやユニバーサルデザインに関するよくある疑問について解説します。
Q1. バリアフリーとユニバーサルデザインは同じものですか?
バリアフリーとユニバーサルデザインは似ていますが、考え方に違いがあります。
バリアフリーは、高齢者や障害のある方などが生活するうえで障壁となるものを取り除く考え方です。
一方、ユニバーサルデザインは、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすいよう、あらかじめ環境などをデザインする考え方です。
ただし、どちらも多くの人が暮らしやすい環境づくりにつながる考え方であり、共通する部分もあります。
Q2. バリアフリーにはどのような例がありますか?
身近な例としては、段差の解消やスロープ・手すり・エレベーターの設置などがあります。
バリアは建物などの物理的なものだけとは限りません。情報を得にくいことや社会参加を妨げる意識など、さまざまな障壁があります。
そのため、設備を整えるだけでなく、必要な情報をわかりやすく伝えたり、周囲が理解を深めたりすることも重要です。
Q3. バリアフリーは高齢者や障害のある方だけが対象ですか?
バリアフリーでは、高齢者や障害のある方などが社会生活を送るうえで直面する障壁を取り除くことが重視されています。
一方、段差の少ない通路やわかりやすい案内など、バリアを減らすための取り組みが、結果としてさまざまな人の利用しやすさにつながる場合もあります。
ユニバーサルデザインでは、最初からできるだけ多様な人が利用しやすい環境を考えます。
まとめ
バリアフリーとは、高齢者や障害のある方などが生活するうえで障壁となるものを取り除く考え方です。
一方、ユニバーサルデザインは、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすいよう、あらかじめ環境などをデザインする考え方です。
介護においても、利用者が安全に生活できる環境を整えることに加え、本人が持っている能力を活かしながら生活できるよう支援する視点が大切です。
介護の仕事では生活環境だけでなく、生活支援や認知症、障害、介護過程、こころとからだのしくみなど、幅広い知識が求められます。
介護についてより専門的に学びたい方は、実務者研修を通じて知識や技術を身につけるのも一つの方法です。
実務経験を積みながら介護福祉士を目指している方も、必要な受験資格を確認したうえで、余裕を持って実務者研修の受講を検討しましょう。
介護の知識や技術を身につけるなら実務者研修
介護の現場では、利用者一人ひとりの状態や生活環境に合わせて、適切な支援を考えることが求められます。介護についてより専門的に学びたい方や、将来介護福祉士を目指している方は、実務者研修の受講を検討してみましょう。
スクールを選ぶ際は、費用だけでなく、受講方法や通いやすさ、受講期間、学習サポートなどを比較し、仕事や生活と両立しやすい環境を選ぶことが大切です。
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「働きながら資格取得を目指したい」「介護の知識や技術をさらに身につけたい」という方は、未来ケアカレッジの実務者研修をチェックしてみてください。
参考・出典
・国土交通省「歩行空間のユニバーサルデザインの推進」
・国土交通省「歩行空間のユニバーサルデザイン」
・国土交通省「バリアフリー法の概要」


