実務者研修
2024.1.12

実務者研修とは?受講するメリットや試験内容や難易度を解説

2024.1.12
実務者研修とは?受講するメリットや試験内容や難易度を解説

目次

介護職で長く働くなら、実務者研修の資格を持っていないと不利になることがあります。実務者研修を取得することで仕事の幅を増やしたり、給与アップを狙うことができます。
こちらでは実務者研修を受講するメリットや、試験内容、学校選びのポイントなど、資格取得に向けた情報をお届けします。

実務者研修の資格を持っていると業務や取れる資格の幅が広くなります。必要に応じて取得し介護の仕事に役立てましょう。

本記事では実務者研修の基本から、資格の難易度、スクール選びのポイントなど、資格取得に役立つ情報をお届けます。

実務者研修とは

まずは実務者研修がどのような資格なのか知っておきましょう。
費用や修了までにかかる時間など、受講する前に知っておきたい部分も解説します。

介護福祉士になるために必要な資格

実務者研修とは、正しくは「介護福祉士実務者研修」という名称です。
介護職員初任者研修の上位に位置づけられている資格ですが、初任者研修を飛ばして無資格から実務者研修を取得することもできます。

実務者研修の大きなポイントは、国家資格の介護福祉士試験の受験要項になっている点です。
そのため介護の基礎的な内容の講義もありますが、すでに介護職に就いている人が介護福祉士を目指すための資格という側面が強いです。

受講にかかる費用

実務者研修の受講費用は、保有している資格によって変動します。
またスクールや地域によっても費用に違いがあるため、あくまでも目安として考えておきましょう。

保有資格 受講費用の目安
介護職員基礎研修 3万円~5万円
ホームヘルパー1級 7万円~10万円
初任者研修またはホームヘルパー2級 6万円~19万円
無資格 9万円~22万円

介護職員基礎研修とヘルパー1級はすでに廃止された研修で、現在の実務者研修と同等のものです。
そのため保有している場合は大幅に受講費用を抑えられます。加えてホームヘルパー2級や初任者研修など、介護に関連する資格を保有している場合は、その資格に応じて受講費用が安くなります。

これは実務者研修のカリキュラムの中から、免除される科目があるためです。
免除が一切ない無資格からスタートする場合は、すべてのカリキュラムを修了する必要があるため、リーズナブルなスクールでも10万円前後の受講費用が必要です。

講義内容とかかる時間は?

無資格の状態で実務者研修を受講する場合は、修了までに450時間分のカリキュラムを修了しなくてはいけません。
前述のとおり、保有している資格がある場合はその資格に応じて減免されます。

講義内容は20科目です。自宅学習が可能な座学と、スクールに通う必要がある実技に分かれています。
座学では介護の基礎を学んで必要な知識をつけ、実技では医療的なケアも含めた演習で技術を身につけていきます。

初任者研修との違いは?

初任者研修と実務者研修の大きな違いは、以下の4つです。

1. 初任者研修では介護福祉士試験の受験資格が得られない
2. 初任者研修の資格だけではサービス責任者になれない
3. 科目数や受講時間が実務者研修の方が大幅に多い
4. 受講費用は実務者研修の方が高い(無資格の場合)

初任者研修は、介護の入門資格のような位置づけとなっています。
介護士として現場で働くために必要な知識や技術の基本が身につくため、介護職に就いてすぐはこの資格で十分です。
介護士としてより幅広い職務をこなし、介護福祉士やサービス責任者を目指す場合は、実務者研修が必須になります。

初任者研修からスタートして、その後実務者研修を受けるのが一般的な流れです。
受講時間や受講費用に大きな差があるため、どちらの資格を取るか迷っている場合は、まずは初任者研修からスタートするとよいでしょう。

実務者研修を受講する4つのメリット

実務者研修を受講すると、仕事の幅や選択肢が増えるメリットがあります。
主な4つのメリットを1つずつ見ていきましょう。

介護福祉士国家試験の受験資格を得られる

実務者研修を受講するメリットは、介護福祉士の受験資格が得られる点が挙げられます。
介護系の学校や養成所を卒業していない人が介護福祉士になる場合に、必須の資格です。

介護福祉士は国家資格であるため、保有していると仕事の幅が広がり、給与も高くなります。
介護の現場で活躍したい、生涯介護系の職で働きたいと考えている場合は、特にメリットが大きい資格です。

給料アップが見込める

実務者研修を受講して資格を保有できれば、給与が上がる可能性がある点もメリットです。
勤務する事業所の方針によって差が出る部分ではありますが、平均給与では以下のような差があります。(※)

保有資格 平均給与(月給制)
介護福祉士 32万8,720円
実務者研修 30万7,330円
初任者研修 30万510円
資格なし 27万1,260円

※出典:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)|厚生労働省 p.23(2022-11-24)

無資格と比べると、1カ月あたりの差は3万6,000円ほど、1年間だと43万2,000円です。
実務者研修を取得すれば大幅な収入アップが見込めることがわかります。
実務者研修を経て介護福祉士の資格を取得すればさらに給与が増え、着実なスキルアップと給与アップが期待できるでしょう。

サービス提供責任者を目指すことができる

実務者研修を受講すると、訪問介護の現場で需要があるサービス提供責任者になれます。

サービス提供責任者は、指定訪問介護事業所で配置が義務付けられている職種です。
通常の訪問介護の業務と兼任できるため、訪問介護事業所にとって実務者研修の取得者はとても魅力的な人材です。

そのため介護関連の業種への就職や転職の際に、実務者研修の資格は有利に働きます。
待遇にも違いがあるため、より希望に合った職場を見つけやすくなるでしょう。

応募できる求人の幅が増える

介護職は人手不足が続いており、求人がないことはほぼありません。
実務者研修の資格を持っていれば「資格保有者のみ」や「経験者優遇」とされた、待遇のよい求人に応募しやすくなります。

また実務者研修の資格を保有している人は、介護の知識や技術をある程度持っていることが保証されています。
雇用側が安心して即戦力としても雇えると判断できるため、希望した事業場への採用率も高くなるでしょう。

実務者研修の取得者はどういうところで有利?

実務者研修の取得者が有利になるのは、就職や給与の面だけではありません。

2012年4月に社会福祉士及び介護福祉士法の一部が改正され、実務者研修の資格保有者は、条件を満たせば医療的ケアを行えるようになりました。
対応できる医療的ケアは痰吸引や経管栄養などで、介護施設で求められることが多いものです。

法改正がされた背景には、介護施設で医療行為のニーズが高まったことがあります。
今後も高齢化が進み、介護施設に求められる医療的ケアが増えることが見込まれています。
そのような時代で実務者研修を取得している人は、認定を受けたり、スキルアップをしたりする際にショートカットしやすいです。
ニーズに対して素早く対応ができる資格としても、実務者研修取得者は有利です。

実務者研修の試験内容は?

実務者研修には、初任者研修のような定められた修了試験がありません。

決められたカリキュラムをすべて修了すれば、実務者研修の資格を保有できます。
しかし、多くのスクールでは学習内容や技術を確認するための試験を設けています。

試験内容や採点基準はスクールによって違う

実務者研修の講座を行っているスクールは、受講生の理解度を評価しなくてはいけません。
そのため各科目ごとにレポート提出や実技試験、修了試験などが行われることが多いです。

試験内容や採点基準には規定がなく、スクールによって差があります。
厳しいスクールもあれば、それまでの講義の総合復習的な試験である場合も多いです。

講義を受けていれば難易度は高くない

試験と聞くと身構えてしまいますが、修了試験の合格率はとても高いです。
今まで受けてきた講義の内容を理解できているか確認する側面が強く、応用問題への対応や特殊な知識が求められることはほぼありません。

しかし、カリキュラムの内容が身についていなかったり、忘れてしまっている部分が多かったりすると合格できない可能性もあります。
不安な場合は復習しておくことをおすすめします。

合格点に達するまで繰り返し追試がある場合が多い

もしも修了試験で不合格になっても、ほとんどのスクールが合格できるまで追試・再試験を行っています。
実務者研修の目的は、介護の現場で活用できる知識や技術を深めることにあります。そのため、しっかりと必要な技能が身につくまで対応しているのです。

追試や再試験には、別途費用が必要になるケースがあります。
初任者研修を受けずに実務者研修を受講している場合は、基礎知識が足りず繰り返し不合格になってしまうことも考えられます。
自信がない場合は、追試に対してどのような対応をしているか確認しておくと安心です。

働きながらでも資格取得できる?

実務者研修の資格は働きながらでも取得できます。
そもそも実務者研修は、すでに介護の職に就いている人が、介護福祉士を目指すために取得する資格として位置づけられています。
そのため多くの人が働きながら取得することになるものです。

実務者研修のカリキュラムには、座学と実技があります。
座学は通信講座でも受講できるため、スクールに通う回数を減らして受講可能です。
仕事が終わった後や隙間時間に学べて、無理なくカリキュラムをこなしていけます。

実技はスクールに通う必要があり、働きながら資格を取る場合は職場に相談するか、事前に計画をたてて休みを取っておかなくてはいけません。
通う日数はスクールによって差がありますが、10日前後で設定していることが多いです。
さまざまなコースが設定されているため、通いやすいスクールを選べば働きながらでも十分に資格取得できます。

学校を選ぶ際のポイント6選

学校を選ぶ際のポイント

実務者研修を働きながら取得する際は、講座を開いている学校選びが重要です。
途中で挫折したり、負担が大きくなりすぎたりしないように、自分に合った学校を選びましょう。

1. 受講スタイル

実務者研修の講座には、通学スタイルと通信講座併用スタイルの2つがあります。

通学スタイルは、座学も含めてすべての授業を学校に通って受ける形です。
集中して学べて、分からない点を質問しやすいメリットがありますが、働きながらだと負担が大きくなりがちです。

通信講座併用スタイルは、座学は通信講座で自宅学習し、実技のみ学校に通うスタイルです。
最低限の通学のみで、自分の都合に合わせてカリキュラムを進められます。

受講スタイルは途中で変更できないことが多いです。どちらのスタイルを選ぶか、仕事との兼ね合いや、自分に合った学び方で選ぶようにしましょう。

2. 通いやすい立地

通信講座を併用する場合でも、数日~10日前後は学校に通う日が出てきます。その際に通いやすい立地でないと、通学に時間が取られて負担が大きくなります。

職場や自宅がある駅の近くや、通勤ルートから行きやすい場所など、通勤方法に合わせて学校の立地も考慮しましょう。
車での通学を想定している場合は、駐車場の有無や駐車台数も重要です。

3. 授業スケジュールに融通が利く

働きながら実務者研修を取得する場合は、どうしても都合がつかない日が出てくる可能性があります。
そのような場合に備えて、スケジュールの変更がしやすい学校を選ぶことも大切です。

振替授業があり、急な変更にも対応しやすい学校だと、いざというときに困りません。
特にシフト制の職場で勤務をしている場合は、シフトの変更で授業が受けられなくなる可能性があるため、重視した方がよいです。

4. サポートが充実している

通常の授業以外のサポートも重要なポイントです。
特に通信講座を併用する場合は重視しましょう。講師に直接会う機会が少ないため、サポート体制が整っていないと十分に学べないことがあるからです。

  • ・ 質問への対応
  • ・ 就職サポート
  • ・ 受講期間の変更
  • ・ 受験対策レッスン
  • ・ 復習制度

これらの制度があると、分からない部分を質問する機会や、不安な部分を繰り返し学べる機会を作れます。

どのようなサポート体制を取っているか、学校によって差があります。
必要なサポートがあればその体制が整っている学校を選び、できるだけ効率的に学べるようにしましょう。

5. 受講費用が予算内

実務者研修の受講費用は、保有している資格やスクールによって大きく異なります。
保有資格による差はどうしようもありませんが、スクールによる差は検討できる部分です。

予算が限られている場合は、候補をいくつか挙げて受講費用が予算内に収まるスクールを選びましょう。後述するキャンペーンを利用すれば受講費用を抑えることもできます。

6. キャンペーンや無料説明会がある

各スクールでは、受講費用が安くなるキャンペーンを行っていることが多いです。
ペア割引や紹介割引、期間限定のお得なコースなど、さまざまなものがあります。気になるスクールが複数ある場合は、キャンペーンの内容で選ぶのもおすすめです。

また講座の内容や介護職についてなど、実務者研修を受ける前に知っておきたい情報を公開している無料説明会がある場合はぜひ活用しましょう。
情報を増やせるだけでなく、そのスクールの雰囲気や、講師の質が見えてくることがあるからです。

実務者研修は取りやすくてメリットが大きい資格

実務者研修は取りやすくてメリットが大きい資格
実務者研修は介護福祉士やサービス提供責任者を目指す上では、欠かせない資格の1つです。初任者研修の上位資格とされているため、難しい資格だと感じる人も多いですが、カリキュラムを修了すればほとんどの人が合格できます。

取得すれば仕事の幅が増え、就職や転職にも有利です。介護職で長く働くつもりなら、取得して損はありません。ぜひ前向きに考えてみてください。

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