介護の知識
2023.11.10

ナーシングホームとは?グループホームとの違いや介護士の働き方を解説

ナーシングホームとは?グループホームとの違いや介護士の働き方を解説

目次

「ナーシングホームはどんな施設?」

「介護士が働く場合、どんな働き方があるの?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

ナーシングホームとは、医療と介護が一体となったサービスが受けられる施設です。医療的ケアや看取りにも対応しており、長期療養しなければならない方のニーズに応えることが可能です。

本記事では、ナーシングホームの特徴や介護士の働き方を中心に解説します。

ナーシングホームとは?

ナーシングホームは医療と介護、両方のサービスが受けられる老人ホームです。欧米でよく呼ばれる名称であり、日本ではあまり一般的ではありません。

日本では、医療的ケアや看取りなどに対応できる有料老人ホームを指すことが多く、次のような方がナーシングホームを必要としています。

  • ・退院後の在宅生活に不安がある方
  • ・住み慣れた場所で看取りを希望する方
  • ・65歳未満で介護保険対象外の方
  • ・重度の障害がある方

 

介護と医療が一体となっているため、入居者がその人らしく安心して暮らせる施設です。

ナーシングホームとグループホームの違い

ナーシングホーム グループホーム
対象 医療依存度が高い ナーシングホームと比較して入居者の医療依存度が高くない
サービス
  • 看護師が24時間配置
  • 緩和ケアや看取りも可能
  • 介護サービス
  • 健康管理
施設
  • 医療機関併設タイプ
  • 訪問診療医との連携タイプ
看取りには対応していないことが多い

ナーシングホームと似た名称の住まいにグループホームがあります。

グループホームは認知症対応型共同生活介護とも呼ばれ、認知症の方が共同生活を送る住まいです。認知症と診断されなければ入居できず、認知症に特化したケアが受けられます。

しかし、グループホームに医師や看護師の配置は義務付けられていないため、提供できる医療的ケアは限定的です。

一方ナーシングホームは認知症の方だけでなく、たん吸引などの医療的ケアが必要な方や難病などを患う医療依存度が高い方でも対応できる体制を整えています。

看護師が24時間常駐しており、緩和ケアや看取りにも対応しています。

最期を迎える場としてナーシングホームが一般的な国も

国によって最期を迎える場所には差があります。

国ごとの最期を迎える場所の種類と割合は、以下の表のとおりです。

日本 オランダ スウェーデン フランス
病院 81.0% 35.3 42.0% 58.1%
ナーシングホーム

ケア付き住宅

2.4% 32.5% 31.0% 10.8%
自宅 13.9% 31.0% 20.0% 24.2%
そのほか 2.8% 7% 6.8%

参考:厚生労働省|介護サービス利用者に対する医療提供のあり方について

なお、「ナーシングホーム・ケア付き住宅」のなかには、オランダ・フランスは老人ホーム、日本は介護老人保健施設が含まれています。

日本において「ナーシングホーム・ケア付き住宅」で最期を迎える割合は2.4%ですが、オランダでは32.5%、スウェーデンでは31.0%となっています。

国によっては、ナーシングホームなどで看取られるのが一般的であるといえるでしょう。

ナーシングホームの2つの特徴

ナーシングホーム-2つの特徴

ナーシングホームには次の特徴があります。

  • ・医療体制が充実している
  • ・さまざまな職種が配置されている

 

それぞれ解説します。

医療体制が充実している

ナーシングホームは看護師が常駐しているため、対応できる医療的ケアや疾病の種類は幅広くあります。

医療的ケアの代表的な種類は、次のとおりです。

  • ・点滴
  • ・経鼻経管栄養
  • ・胃ろう・腸ろう
  • ・たんの吸引
  • ・褥瘡(じょくそう)の処置
  • ・人工膀胱・人工肛門の管理
  • ・気管切開のケア
  • ・酸素療法など

 

必要な医療的ケアは個人差がありますが、特別養護老人ホームやグループホームでは対応できる医療的ケアに限りがあります。

ナーシングホームであれば対応できる体制を整えているため、医療的ケアが必要な方であっても安心して暮らせるでしょう。

また、介護施設のなかには疾病などが原因で身体状況が悪化すると、療養上の世話が難しいことから退所しなければならないケースも少なくありません。

ナーシングホームであれば医師による気管カニューレ交換などの処置や、医師の指示による酸素吸入や点滴、抗生剤、輸血などに対応できる施設もあります。

医療機関に入院したのちに医療的ケアなどが必要になっても、住み慣れた施設で暮らし続けられるのはナーシングホームの特徴といえるでしょう。

さまざまな職種が配置されている

ナーシングホームでは、医療と介護が一体となってサービスを提供するため、さまざまなスタッフが配置されています。

配置されているスタッフの例は、次のとおりです。

  • ・介護士
  • ・看護師
  • ・生活相談員
  • ・機能訓練士
  • ・ケアマネージャー(介護支援専門員)など

 

ほかにも医師による往診が受けられるなど、医療体制が整っています。

ナーシングホームにおける介護士の働き方

ナーシングホームで介護士が働く場合、仕事内容は施設によって差があります。施設自体に勤務するケースや、併設している介護事業所に所属して働くケースもあります。

ナーシングホームにおける介護士のおもな働き方は次のとおりです。

  • ・介護スタッフ
  • ・サービス提供責任者

 

それぞれ解説します。

介護スタッフ

ナーシングホーム自体に勤務する場合、介護スタッフとして働きます。

おもな業務内容は次のとおりです。

  • ・入浴・排泄・食事の介助などの身体介助
  • ・居室の環境整備
  • ・シーツ交換
  • ・レクリエーションなど

 

ナーシングホームは、看護師が24時間常駐している施設も少なくありません。

医療依存度が高い方が多く入居していますが、いざという時でも看護師に相談できるため、安心して働ける施設だといえるでしょう。

サービス提供責任者

ナーシングホームに併設している介護事業所で働く場合、要件を満たしていればサービス提供責任者として働くことも可能です。

サービス提供責任者に求められる要件は、次のとおりです。

  • ・介護福祉士
  • ・実務者研修修了者
  • ・旧介護職員基礎研修修了者
  • ・旧ホームヘルパー1級課程修了者

 

なお、介護職員基礎研修とホームヘルパー1級は廃止されているため、現在新たに取得できる資格は介護福祉士と実務者研修のみとなっています。

サービス提供責任者のおもな仕事内容は次のとおりです。

  • ・入居者の方を対象としたアセスメントや訪問介護計画書の作成
  • ・モニタリングや評価
  • ・担当者会議への参加
  • ・契約内容の説明
  • ・訪問介護員への指導など

 

現場のケアに入ることもあり、訪問介護員と比べると幅広い仕事を任せられます。訪問介護員に対して利用者の援助内容の指示や指導も行うため、これまでの介護の経験を活かせます。

その分、訪問介護員よりも給与が高く設定されており、やりがいの多い仕事だといえるでしょう。

ナーシングホームはさまざまなニーズに応えられる

ナーシングホーム-ニーズ

ナーシングホームは医療体制が充実しており、長期療養が必要な方のさまざまなニーズに応えられる施設です。

ナーシングホームにおける介護士の働き方のなかでも、サービス提供責任者は給与が比較的高く、やりがいも多い仕事です。

介護の経験を活かしてサービス提供責任者として働く選択肢も、検討してみてはいかがでしょうか。

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