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「実務者研修を取れば喀痰吸引ができるようになるの?」とお悩みの方も多いでしょう。
結論からいえば、実務者研修の修了だけで喀痰吸引はできません。
現場での喀痰吸引を可能にするためには、実地研修の修了が必要です。
今回は『実務者研修や介護福祉士を取れば喀痰吸引ができる?』『実務者研修修了後に喀痰吸引ができるようになる方法は?』といった内容を解説していきます。
この記事を読めば、喀痰吸引ができる介護職員を目指せるようになります。
実務者研修を取れば喀痰吸引ができるようになる?
実務者研修で医療的ケアを学ぶため、修了後は喀痰吸引が可能になると思う方も多いでしょう。
しかし、実務者研修の修了と、喀痰吸引の資格は別の扱いになります。
また、介護福祉士の資格も同様です。
それぞれ詳しく解説していきます。
実務者研修を取っても喀痰吸引はできない
実務者研修を取っても喀痰吸引ができない理由は『実地研修』が必要だからです。
現場での喀痰吸引を可能にするためには、基本研修と実地研修が必要です。
実務者研修では、カリキュラムに基本研修が含まれています。
しかし、実地研修は含まれていないため、実務者研修を修了しただけでは喀痰吸引はできません。
介護福祉士になっても喀痰吸引はできない
実務者研修を修了後、国家試験に合格すれば介護福祉士の資格が取れます。
しかし、介護福祉士そのものは喀痰吸引が許可される資格ではありません。
介護福祉士の資格取得には、実務経験ルート以外にもさまざまなルートがあり、必ずしも実務者研修が必要ではないからです。
実務者研修を受けずに介護福祉士になった方は、そもそも医療的ケアの講義を受けていません。
介護福祉士でも喀痰吸引を施行するためには、一定の研修を受ける必要があります。
喀痰吸引ができるようになる方法は?
実務者研修を修了している方は、介護福祉士の試験に合格後、施設や病院へ実地研修を申し込みましょう。
その他に喀痰吸引を可能にする方法には、次の2つがあります。
- ・『喀痰吸引等研修』を受ける
- ・施設や病院へ実地研修を申し込む
それぞれ解説していきます。
『喀痰吸引等研修』を受ける
喀痰吸引等研修を受ければ、喀痰吸引ができるようになります。
喀痰吸引等研修とは、たん吸引や経管栄養を行える介護職員を養成するための研修で、1号・2号・3号に分かれています。
それぞれの違いは次のとおりです。
- ・1号:不特定多数の利用者に対し、喀痰吸引と経管栄養が可能
- ・2号:不特定多数の利用者に対し、気管カニューレ以外の喀痰吸引と経鼻以外の経管栄養が可能
- ・3号:特定の利用者に対し、喀痰吸引と経管栄養が可能
未来ケアカレッジでは1号と2号の研修を実施しているので、ここからは1号・2号について解説していきます。
喀痰吸引等研修は、基本研修と実地研修に分かれます。
基本研修
喀痰吸引等研修の基本研修では、次の科目を受講します。
- ・人間と社会:1.5時間
- ・保健医療制度とチーム医療:2時間
- ・安全な療養生活:4時間
- ・清潔保持と感染予防:2.5時間
- ・健康状態の把握:3時間
- ・高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論:11時間
- ・高齢者及び障害児・者の喀痰吸引実施手順解説:8時間
- ・高齢者及び障害児・者の経管栄養概論:10時間
- ・高齢者及び障害児・者の経管栄養実施手順解説:8時間
また、次の演習を規定回数行う必要があります。
- ・口腔内の喀痰吸引:5回以上
- ・鼻腔内の喀痰吸引:5回以上
- ・気管カニューレ内部の喀痰吸引:5回以上
- ・胃ろう又は腸ろうによる経管栄養:5回以上
- ・経鼻経管栄養:5回以上
- ・救急蘇生法:1回以上
上記は1号・2号とも共通です。
実地研修
実地研修では次の行為を規定回数行わなければなりません。
- ・口腔内の喀痰吸引:10回以上
- ・鼻腔内の喀痰吸引:20回以上
- ・気管カニューレ内部の喀痰吸引:20回以上
- ・胃ろう又は腸ろうによる経管栄養:20回以上
- ・経鼻経管栄養:20回以上
参考:厚生労働省『喀痰吸引等研修~研修課程(2)~』
施設や病院へ実地研修を申し込む
自分で直接、介護施設や病院へ問い合わせて、実地研修を申し込むのも可能です。
ただし、実地研修に対応できない施設や病院もあるので、問い合わせの際は注意しましょう。
実地研修を申し込む際の注意点は次の3つです。
- ・事業所が登録研修機関であること
- ・実地研修を指導できる講師が在籍していること
- ・医師の指示書や本人、家族の同意書が整備されていること
費用を抑えられるメリットがありますが、すべて自分で手配しなければならないデメリットもあります。
喀痰吸引等研修には医療的ケア修了生コースもある
未来ケアカレッジでは実務者研修を修了した方向けに、医療的ケア修了生対象のコースを用意しています。
通常の喀痰吸引等研修に比べると、スクーリングの日数が免除されたり、費用も抑えられたり、メリットが多いコースです。
実地研修の実習先手配も任せられ、多くの医療的ケア修了生が受講しています。
実務者研修を修了したあとは、医療的ケア修了生対象コースで喀痰吸引等研修を受けましょう。
実地研修を修了したあとは登録を忘れずに
喀痰吸引等研修の実地研修を修了しただけでは、現場で喀痰吸引はできません。
平成28年4月1日から「実地研修を修了した喀痰吸引等行為」の登録申請が必要になりました。
実地研修を修了したあとは、忘れずに社会福祉振興・試験センターへ登録しましょう。
喀痰吸引等の行為を実施する場合は、お勤め先などの事業所(施設等)から各都道府県への届け出が必要です。
参考:社会福祉振興・試験センター『「実地研修を修了した喀痰吸引等行為」の登録申請について』
【実務者研修】喀痰吸引のよくある質問
実務者研修後の喀痰吸引について、よくある質問をQ&A形式でまとめます。
実務者研修は喀痰吸引等研修の何号になる?
実務者研修では喀痰吸引等研修の1号・2号の基本研修に該当する内容を学びます。
実地研修を修了すれば、喀痰吸引が可能になります。
喀痰吸引の実地研修のみだと費用はいくら?
基本研修免除者が、施設や病院で実地研修のみを受ける場合は、約2〜3万円と設定されていることが多いようです。
ただし、研修機関により異なるため、申し込みの際には費用を確認しておきましょう。
喀痰吸引の実地研修ができる施設はどこ?
『登録研修機関』として都道府県に登録された施設や病院でのみ、実地研修が受けられます。
すでに勤務している介護施設や病院が実地研修に対応できるなら、申し込みしても良いでしょう。
ただし、自分の施設ではやりづらいと感じるケースもあるので、自分に合った方法で実地研修を受けましょう。
実務者研修+喀痰吸引等研修で、喀痰吸引ができる介護職員を目指しましょう!
実務者研修を修了しただけでは、現場で実際に喀痰吸引は行なえません。
利用者に対しての喀痰吸引を可能にするためには、喀痰吸引等研修の実地研修を受ける必要があります。
また、実地研修を修了したあとは、都道府県へ従事者としての登録が必要です。
未来ケアカレッジでは、実務者研修を修了した方向けの喀痰吸引等研修も用意しています。
感染症のリスクを考慮し開講を見合わせていましたが、23年3月より新宿コースが開講予定で、すでに受講生の募集も開始しています。
医療ケア修了生向けの詳細は喀痰吸引等研修(医療的ケア対象)からご覧いただけます。
まだ医療的ケアを修了していない方は、医療的ケアの修了と同時に介護福祉士の受験要件も満たせる実務者研修から始めるのが良いでしょう。
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