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介護分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」は、高齢化が進む日本でますます活躍の場が広がっています。
資格を取得すれば、専門知識と高度な技術を持つ介護のプロとして自信を持って働けるだけでなく、待遇やキャリアの向上にもつながります。
介護福祉士に関して、以下のような悩みを持っている方もいるでしょう。
- ・「自分の経歴で受験できるのか」
- ・「どのルートが自分に合っているのか」
- ・「試験の難易度はどのくらいか」
国家試験のため難しそうな印象を持っている方もいるかもしれませんが、正しい情報と準備さえあれば、どなたでもステップを踏んで挑戦できます。
本記事では、介護福祉士国家資格の魅力や取得ルート、試験概要や合格率を紹介します。また、合格後のキャリア活用まで、専門的かつわかりやすく解説するので、ぜひご覧ください。
介護福祉士の国家資格ってどんな資格?役割や立ち位置を知ろう
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格で、介護の専門知識と技術を持つプロとして認められる証明になります。
取得すれば現場での信頼が高まり、待遇改善や将来的なキャリアアップにつながる重要な資格です。
ここでは、介護福祉士の国家資格としての位置づけと「介護士」との違いについて解説します。
介護福祉士とは何か、国家資格としての位置づけ
介護福祉士は、法律に基づき国が認定する唯一の介護分野の国家資格です。一度取得すれば更新不要で、生涯有効になります。
将来的にケアマネジャーの受験資格取得にもつながるため、長期的なキャリア形成において、大きな強みとなります。
身体介助や生活援助のような単なる支援だけでなく、利用者や家族への介護指導、現場スタッフのサポートやチーム運営など、現場を牽引する役割を担うことが期待されています。
また、介護福祉士の資格を取得することで基本給や手当などの金額もアップし、待遇面での改善も期待できるでしょう。
介護福祉士と「介護士」の違い
介護福祉士は、国家資格の名称独占資格として明確に位置づけられ、資格を持っていないと介護福祉士を名乗ることはできません。また、専門知識と技能の証として社会的にも認められています。
一方「介護士」は一般的な略称として使われます。介護福祉士のように、専門的な資格があることを証明するわけではなく、介護の仕事をしていれば名乗ることが可能です。
介護福祉士の資格を持っていても介護士と呼ばれる場合もありますが、資格の有無による知識や技術、待遇面の差はあるという明確な違いは把握しておきましょう。
介護福祉士の国家資格を取得するメリット
介護福祉士を取得することで専門知識や実践スキルを身につけたり、待遇の向上につながったりするといったメリットがあります。
ここでは介護福祉士の国家資格を取得することが、将来のキャリアアップの可能性を広げる重要性について解説します。
スキルも知識も大きく伸ばせる
介護福祉士の国家資格を目指すことで、介護に必要な専門知識や技術を体系的に学べ、介護に関する知識の向上につながります。
無資格・未経験で介護職をはじめた場合でも、資格取得に必要な実務経験を通じて、現場での対応力やチームケアのスキル向上の効果も期待できます。
とくに介護の仕事に自信がない方であれば、介護福祉士の資格取得を目標にすることで、計画的にスキルや知識を学べるため、自信を持って活躍できるようになるでしょう。
待遇やキャリアアップに直結する
介護福祉士の資格を取得することで基本給アップや資格手当、役職への昇格など、待遇面での向上が期待できます。
厚生労働省の調査によると、介護福祉士の資格を取得することで、以下のような待遇改善が可能であることがわかります。
保有資格 | 平均給与(月給) |
無資格 | 290,620円 |
介護職員初任者研修 | 324,830円 |
実務者研修 | 327,260円 |
介護福祉士 | 350,050円 |
参考:「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省)
ケアマネジャーや管理職といったキャリアアップの道も開かれ、将来の選択肢が広がるのも魅力です。さらに、転職市場での評価も高まるため、自分の希望条件に近い職場を選びやすくなるでしょう。
介護福祉士の資格取得は、専門性を証明しながら、自身のキャリアと将来の可能性を前向きに広げるステップです。
介護福祉士の国家資格の取り方は主に2つ
介護福祉士の国家資格を取得するには、主に以下2つのルートがあります。
- ・働きながら経験を積む「実務経験ルート」
- ・大学や専門学校でしっかり学ぶ「養成施設ルート」
どちらも自分の状況やライフスタイルに合わせて挑戦でき、着実にスキルと資格を手に入れられるでしょう。
それぞれのルートの具体的な内容を解説します。
働きながら目指す「実務経験ルート」
実務経験ルートで介護福祉士の国家資格取得を目指す場合は、以下2つの受験を満たすことが必要です。
- ・3年以上の実務経験(540日以上の介護現場での経験)
- ・実務者研修の修了
現場で実際の業務に携わるため、実践的なスキルを習得しながら介護福祉士を目指せます。国家試験を受験するまでに実務者研修の修了も必要ですが、通信と通学を組み合わせられるため、働きながらでも無理なく学べます。
多くの人が実務経験ルートで介護福祉士を取得しており、誰もが挑戦しやすい学習スタイルといえるでしょう。
大学や専門学校に通って目指す「養成施設ルート」
養成施設ルートでは大学や短大、専門学校などに通い、介護カリキュラムを修了することで受験資格が得られます。
養成施設ルートの場合、現場で働く前に基礎から応用まで体系的に学べるため、余裕を持って試験対策ができるのがメリットです。さらに、卒業年度によっては試験免除期間が設定されている場合もあり、計画的に資格取得を目指せます。
具体的には、平成29年4月1日から令和9年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した者については、介護福祉士試験に合格しなくても、卒業年度の翌年度から5年間は介護福祉士となる資格を有する者とする経過措置が設けられています。
介護福祉士の国家資格試験の内容と合格するためのポイント
介護福祉士の国家試験は、専門知識と実践力を証明する重要なステップです。出題範囲や合格基準を把握し、計画的に学習することで、着実に合格を目指せます。
ここで紹介するポイントをおさえておけば、自信を持って挑戦できるでしょう。
試験日・会場・出題範囲をおさえよう
試験は年1回、毎年1月下旬の日曜日に実施されています。試験会場は全国の主要都市ですが、実施されない都道府県もあるため、公式サイトで実施される都道府県を確認しておきましょう。
出題範囲については、11科目群・125問が出題されます。令和7年度からはパート合格制度を導入し、合格した科目は翌年以降免除となるため、段階的に挑戦できる仕組みが整っています。
令和4年度(第35回)の国家試験からは、チームマネジメントに関する科目が追加され、より現場で役立つ知識を学ぶことが試験対策において重要になっています。
出題範囲を事前に把握し、計画的に学習すれば、効率的に合格を目指せるでしょう。
参考:「介護福祉士国家試験」(社会福祉振興・試験センターホームページ)
合格率・難易度をみよう
合格率や難易度についても、事前に把握しておけば、学習スケジュールを立てる際の参考になるでしょう。
厚生労働省の調査によると、直近5年間の介護福祉士国家試験の合格率は、以下のとおりです。
実施年度 | 合格率 |
令和6年度(第37回) | 78.3% |
令和5年度(第36回) | 82.8% |
令和4年度(第35回) | 84.3% |
令和3年度(第34回) | 72.3% |
令和2年度 (第33回) | 71.0% |
近年の合格率は上昇傾向にあり、実務経験を積んだ受験者の多くが合格しています。合格基準は、総得点の約60%かつ全科目で一定得点以上を獲得することが必要です。
難易度は決して高くなく、計画的な学習や模擬試験の活用などで、十分合格できる試験といえるでしょう。
参考:「介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」(厚生労働省)
合格したらどうする?資格登録とその後の活用
介護福祉士試験に合格したら、資格登録をおこなうことで、正式に国家資格である介護福祉士として認定されます。
登録後は、管理職や専門職へのキャリアパスが広がり、長期的に自分のスキルを活かせる働き方が可能です。
ここでは、資格登録の必要書類や手順、資格取得後のキャリアパスについて詳しく解説します。
資格登録の必要書類と手順
介護福祉士の資格登録には、以下の書類が必要です。
- ・登録申請書
- ・登録免許税『収入印紙』の原本(9,000円)
- ・貼付用紙
- ・登録手数料『振替払込受付証明書(お客さま用)』の原本
- ・日本国籍の場合は下記のいずれか1通
→戸籍の個人事項証明書の原本
→戸籍抄本の原本
→本籍を記載した住民票の原本 - ・外国籍の場合は下記のいずれか1通
→中長期在留者、特別永住者は「国籍等を記載した」住民票の原本
→短期滞在者はパスポートその他の身分を証する書類のコピー
提出先は公益財団法人社会福祉振興・試験センター(試験センター)で、申請後に審査を経て登録証が交付されます。
登録証を受け取ることで、正式に介護福祉士を名乗って活動できるようになります。書類準備や手続きはシンプルで、スムーズにできるよう案内も整っているため安心して進めましょう。
資格取得後のキャリアパス
介護福祉士として登録されると管理職や指導者、ケアマネジャーなど専門職へのキャリアアップがしやすくなります。
現場での経験を活かしながらチーム運営や教育指導にも挑戦でき、介護の仕事における長期的なキャリア形成が可能です。
また、資格は職場での信頼や評価にも直結するため給与アップも期待できるでしょう。さらに、介護福祉士の資格を持っていることで、転職時に採用されやすくなります。
介護職の需要は今後も高まるため、介護福祉士の資格があることで安定した雇用や多様な働き方につながり、ライフステージに応じた柔軟なキャリア設計がしやすくなるでしょう。
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