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介護や福祉の分野でキャリアを築くうえで、「介護福祉士」と「社会福祉士」はどちらも専門性の高い国家資格です。しかし、担当する業務や関わる相手、求められるスキルには明確な違いがあります。
本記事では、それぞれの資格の仕事内容や取得条件、収入やキャリアの違いを整理しながら、自に合った資格を見極めるためのポイントを解説します。
さらに、両方の資格を取得する「ダブルライセンスの強み」についても紹介し、将来の選択肢を広げるためのヒントをお届けするので参考にしてください。
介護福祉士と社会福祉士の違い

どちらも福祉分野で欠かせない国家資格ですが、担当する業務の領域や役割には明確な違いがあります。
ここでは、以下3つの視点から両資格を比較し、それぞれの専門性をわかりやすく整理します。
- ・仕事内容や対象利用者
- ・資格の取得条件
- ・収入やキャリアの広がり
仕事内容や担当する相手はどう違う?
介護福祉士と社会福祉士の仕事内容や担当する相手は、それぞれ以下のように異なります。
| 資格 | 主な仕事内容 | 担当する相手 | 
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 食事・入浴・排せつなどの身体介助や生活支援を行う | 高齢者、身体に障がいがある方、精神に障がいがある方など、日常生活に支援が必要な人 | 
| 社会福祉士 | 福祉に関する相談援助を行い、制度や支援サービスを活用して問題解決を図る | 日常生活を送る上で困難を抱える人 | 
介護福祉士は介護が必要な高齢者や障害者が対象ですが、社会福祉士は障害の有無に関係なく、生活上の困難を抱えるすべての人が対象です。
よりわかりやすく解説すると、介護福祉士は現場で支える人、社会福祉士は制度で支える人といえるでしょう。
資格を取るための条件や勉強内容の差は?
介護福祉士の資格を取るためには、主に以下2つのルートがあり、最終的に国家試験に合格すると資格を獲得できます。
- ・実務経験ルート(介護職として3年以上勤務+実務者研修修了)
- ・介護福祉士養成校の卒業
一方、社会福祉士は「福祉系大学・短大・専門学校を卒業する」「一般大学卒業後に指定養成施設を修了する」など、学歴を重視した要件が中心です。
試験内容も異なり、介護福祉士は全13科目で、介護技術や認知症ケアなど実践的な内容が中心です。社会福祉士は19科目と範囲が広く、福祉制度・法律・相談援助など理論的な学びが多いことが特徴です。
介護福祉士は現場スキルを証明する資格で、社会福祉士は制度や支援計画の専門家を目指す資格です。現場で介護サービスを提供し直接支えるか、それとも相談援助を通じて問題解決で支えるかによって、選ぶべき学習ルートは異なります。
収入やキャリアの広がり方はどちらが有利?
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士と社会福祉士の平均給与は、以下のとおりです。
| 保有資格 | 平均給与(月給) | 
|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 | 
| 社会福祉士 | 397,620円 | 
平均給与に関しては、特別養護老人ホームや病院など、働く施設の種類によって異なります。また、社会福祉法人や株式会社など、運営する法人によっても違ってくるでしょう。
また、キャリアの広がりに優劣はなく、それぞれの資格を活かしてキャリアを選択できます。たとえば、介護福祉士の場合は現場の介護リーダーや管理職などにキャリアアップ可能です。
一方、社会福祉士は生活相談員や管理職以外にも、行政の福祉課で働くというキャリアもあります。各資格の強みを活かして、自分なりのキャリアアップを目指しましょう。
自分にはどちらの資格が合っている?

介護福祉士と社会福祉士は、どちらも福祉の専門職ですが、求められる資質や得意分野が異なります。
人と接することが好きでも、身体介助を通じて直接支援したい人と相談や制度を通じてサポートしたい人では、向いている資格も異なります。
自分の性格や希望の働き方をもとに、どちらの資格が自分に合っているか見極めていきましょう。
介護福祉士に向いているタイプの傾向
介護福祉士は、利用者に直接かかわりながら、身体介助や生活支援を行う専門職です。そのため、以下のようなタイプの人に向いている仕事といえます。
- ・体力に自信がある
- ・身体介護にやりがいを感じる
- ・チームで協力して仕事を進められる
介護福祉士の仕事は、身体的な負担や緊張を感じる場面もありますが、利用者の生活を支える重要な役割を担います。体力に自信があり、責任感を持って前向きに取り組める人に向いています。
また、看護師やリハビリスタッフなど、各専門職との関係構築も重要なため、コミュニケーションが得意な人にも向いている仕事です。
社会福祉士に向いているタイプの傾向
一方、福祉制度や地域資源を活用して相談支援を行う社会福祉士は、以下のようなタイプの人に向いている仕事です。
- ・制度理解や行政手続きに抵抗がない
- ・計画的に物事を進められる
- ・分析力やコミュニケーション能力が高い
介護福祉士のような、利用者と直接かかわる身体介護よりも、相手の背景を理解して支援の仕組みをつくることにやりがいを感じる人に向いている仕事です。
書類作成や行政手続きもあるため、デスクワークや関係機関との連絡調整などが得意な方にもおすすめです。
どちらに進むか迷う人への判断チェック
介護福祉士と社会福祉士、どちらの仕事に進むか迷った方は、以下の質問項目を参考に、自分に合う仕事を見つけてください。
| 質問項目 | 介護福祉士タイプの人 | 社会福祉士タイプの人 | 
|---|---|---|
| 1.興味を感じる分野は? | 介護やリハビリなどの生活支援 | 福祉制度や社会保障、相談援助など | 
| 2.得意なことは何? | 身体を動かすこと | 話を聞き課題を考えること | 
| 3.どのようなことを学びたい? | 介護技術や認知症ケアなどの実践的なスキル | 法律・制度・心理などの相談援助スキル | 
| 4.やりがいを感じる瞬間は? | 「ありがとう」と直接言われるとき | 困難を抱えた人が生活を立て直したとき | 
| 5.理想の働き方は? | 現場でチームと協力して支援したい | 行政や地域の制度を活用して支援したい | 
| 6.どのように人と関わりたい? | 直接支援したい | 利用者とサービスをつなぐ橋渡しをしたい | 
| 7.キャリアプランの希望は? | 現場経験を深めたい | 専門領域を広げたい | 
自分がどのような仕事をしたいのか考えることで、最適なキャリア選択ができるでしょう。
資格を取るにはどんなステップが必要?

介護福祉士・社会福祉士のどちらも、国家資格として定められた受験資格と合格基準があります。
社会人であれば実務経験を積みながら受験資格を得る方法、学生であれば養成課程を修了して受験する方法が一般的です。
働きながら資格取得を目指す場合と、大学や専門学校経由で資格取得を目指す場合、それぞれの特徴を見ていきましょう。
社会人が最短で資格取得を目指すなら
社会人が最短で働きながら資格取得を目指すなら、それぞれ以下の方法で受験資格を満たすのがおすすめです。
- ・介護福祉士:介護職として3年以上勤務し実務者研修を修了する
- ・社会福祉士:一般の大学や短大を卒業している場合は相談援助の実務経験を1〜2年積む
大学を卒業していない場合は、通信制の福祉系大学で必要な科目を履修しつつ、受験資格を満たすことが必要です。
働きながら受験資格を満たしつつ試験勉強をする必要があるため、スキマ時間での学習や通信講座の活用などが合格へのポイントとなるでしょう。
大学や専門学校経由で資格取得を目指す人のルート
大学や専門学校経由で資格取得を目指す場合は、それぞれ以下の方法が一般的です。
- ・介護福祉士:介護の専門学校を卒業する
- ・社会福祉士:福祉系の4年制大学で指定科目を履修する
学費は一般的に、年間100万円前後が目安ですが、通信制であれば費用を抑えられる可能性があります。
大学や専門学校であれば、疑問点をすぐ先生に確認できたり、受験対策講座を活用したりできるため、働きながら資格取得を目指すよりも学びやすい環境が整っているでしょう。
合格率や必要な学習時間の目安を知っておこう
介護福祉士の国家試験合格率はおおむね80%前後、社会福祉士は50%前後となっています。直近3年間の合格率を確認しましょう。
| 資格 | 試験の実施年度 | 合格率 | 
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 第35回(令和4年度) | 84.3% | 
| 第36回(令和5年度) | 82.8% | |
| 第37回(令和6年度) | 78.3% | |
| 社会福祉士 | 第35回(令和4年度) | 44.2% | 
| 第36回(令和5年度) | 58.1% | |
| 第37回(令和6年度) | 56.3% | 
学習時間の目安は、介護福祉士で300〜500時間、社会福祉士で600〜800時間程度が一般的です。社会福祉士は出題範囲が広く、法律や制度の理解も必要なため、より計画的な学習が求められます。
介護福祉士は、現場で学んだ知識を活かせるため学習しやすい反面、社会福祉士は現場で学べない専門知識を深掘りする必要があり、介護福祉士よりも難易度は高いといえます。
資格で広がるキャリアやダブル取得の強みは?

介護福祉士や社会福祉士の資格を取得すると、働ける職場やキャリアの選択肢が大きく広がります。
現場での介護スキルを高めるか、相談支援の専門家として地域を支えるか、自分の志向に合わせた働き方が可能です。
さらに、両方の資格をダブルで取得すれば、実務と相談の両面から支援できる人材として高く評価されるでしょう。
介護福祉士を取ったらどんな職場で働ける?
介護福祉士は、高齢者の生活を支えるのが主な役割で、以下のような場所で活躍しています。
- ・特別養護老人ホーム
- ・介護老人保健施設
- ・有料老人ホーム
- ・デイサービス
- ・グループホーム
そのほかにも、訪問介護事業所や病院、リハビリ施設などさまざまな場所で介護福祉士の資格を活かせます。
現場で経験を積んだ後は、サービス提供責任者や施設管理者、ケアマネジャーなどへのキャリアアップも可能です。
介護福祉士は、利用者と直接関わりながら専門性を高めたい人にとって、幅広い将来の道が開ける資格といえるでしょう。
社会福祉士はどんな場所で活躍できる?
社会福祉士は、相談援助の専門職として、介護や医療現場、行政や地域など幅広い分野で活躍できます。代表的な勤務先は、以下のような場所です。
- ・介護施設(生活相談員)
- ・福祉事務所
- ・社会福祉協議会
- ・病院(医療ソーシャルワーカー)
- ・地域包括支援センター
相談者の生活課題を把握し、制度や関係機関を活用して解決へ導くのが主な役割です。
経験を重ねることで、行政職員や相談支援専門員、スクールソーシャルワーカーなど、相談援助のプロとして専門領域での活躍が期待されます。
社会福祉士は、社会的課題に関心があり、人の人生を長期的に支えたい人に向いた資格です。
両方の資格を持つとどんなメリットがある?
介護福祉士と社会福祉士の両方の資格を持つ「ダブルライセンス」には、現場での直接支援と、相談援助の両方に対応できる強みがあります。
就職先の選択肢が大幅に広がるだけでなく、介護現場で培った実践力と制度理解の両面を兼ね備えた専門職として、高い評価を得やすいのが魅力です。
資格取得には学習時間や費用の負担もありますが、その分キャリアの柔軟性が高まります。たとえば、介護現場での仕事だけでなく、施設運営やリーダー職、行政や教育分野などへの選択肢が広がります。
現場経験を活かしながら専門性を深めたい人にとって、ダブル取得は将来の可能性を広げるキャリア投資といえるでしょう。
まとめ

介護福祉士は「生活支援や身体介助を担う専門職」、社会福祉士は「相談支援や制度活用の専門職」として、それぞれ異なる役割を持ちます。
本記事では、それぞれの仕事内容や資格取得の流れ、年収やキャリアの違いを整理しました。自分の適性や関心のある分野に合わせて、資格を選ぶことが大切です。
将来どんな職場で働きたいか、キャリアをどう築きたいかなどを考慮し、ダブル取得も視野に入れて検討してみましょう。
学習方法や試験対策に不安がある方は「未来ケアカレッジの介護福祉士試験対策講座」がおすすめです。まずは「資料請求」から、資格取得での流れを確認し、不安を解消しましょう。
資料請求を通じて、資格取得への不安を解消し、自分に合った学び方を見つけましょう。

 
                 
                 
                 
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
               
               
            

